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21美

金沢へ行ったら絶対行きたかったた金沢21世紀美術館へようやく行ってきました。竣工が2004年10月なので、すでに開館から11年経過しています。全面ガラス張りの建物は未だ綺麗でしたし、なにより磁力を全く失うことなく多くの来場者でごった返していたことに感心させられました。建物そのものの魅力も衰えることなく、なにより運営するキュレーターの力の結果だと思います。

外部
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内部
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設計屋としてはどうしても建物ばかり見てしまうのですが、この建物の一番の見所のガラス。ガラスは曲面ガラスを使用していると本か何かでだいぶ前に読んだ記憶があるのですが、これだけ大きな径だと直線のガラスを使って、つなぎ目でちょっと角度を変えても出来そうだし、なにより予算的に全く安く出来るはずなのですが、そこをあえて曲面を使っていると。

周りが建築関係者ばかりだと平気でその辺ジロジロ見れるのですが、一般の方が沢山いるので、あんまり怪しまれない程度に窓際へ行って確かめてみました。あまりに曲率が大きいのではっきりと断言できないのですが、やっぱり曲がっているようでした。

見た目さりげなく、実は厚い合わせガラスを曲げるという大変な技術を使用して、当然相当高額なはずで、このガラスだけでも住宅だったら10軒ぐらいは建っちゃいそうな気もしますが、そこを押し通した設計者もやっぱり只者ではないですね。

あとこの手の建築で気になるのは屋根。薄っぺらくフラットな屋根は一体どうやって雨水を処理しているのか。普通の屋根みたいに外側へ水勾配を取ると、ガラス面にダラダラ流れてきて、すぐに汚れて大変なことになるので、当然内側へ水勾配をとってルーフドレンから流しているとは思うものの、一般的な建物のようにパラペットの立ち上がりがなくて長い間大丈夫なのか??です。これについては下から見てもわからないので、Googl Earthで見てみたら

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・・・よくわからない!

ガラスについて調べたらやっぱりすごいことでした。

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海岸美術館

ホキ美術館を見た翌日南房総へ向かっている途中「海岸美術館」の小さな看板が目に入り、急遽その美術館へも立ち寄りました。名前とは裏腹な山の中にある美術館へは娘のスマホが頼りでした。

海岸美術館は相当昔に出来たはずで、かすかな記憶を辿ると設計は高松伸だったかと思って着いてみると、どう見ても高松伸じゃあない。(後で調べたら高松伸のは「植田正治写真美術館」でした)まあ、設計者はともかくここはあの浅井慎平さんの美術館であることは間違いのないはずで、思わぬ拾い物をした思いでした。

アプローチ

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裏の庭園側から

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中に入っても、設計は誰だっけと気になって、気になって。モダンだけど研ぎ澄ましたシャープさはない。ポップな浅井慎平さんの写真に昔の高松伸のギラギラした建築だったら、ちょっと疲れるかもしれないけど、いい具合に柔らかさもあって写真を引き立てているようにも感じました。

予定にない行動をしたおかげで、その後の予定がすべておじゃんになり、南房総のお花畑への寄り道もすべてなしで、ひたすら帰り道を急ぎ新幹線になんとか間に合いました。

ちなみに海岸美術館の設計者は石井和紘さんでした。石井さんは十和田小中学校の設計者で今年1月に70歳で亡くなりました。

ホキ美術館

これまでこの時期娘たちの卒業などに合わせて関東圏へ行きついでに小旅行することが多く、さらについでに気になる建築を(美術館が多いです)見てくるのですが、今回は千葉へ行ってきました。
ホキ美術館。2010年11月オープンの比較的新しい美術館で、設計は日建設計の山梨知彦さん、施工は大林組です。鉄板構造で30mも跳ね出す展示室というのを是非見たかった。

まずはアプローチから。30m跳ね出す部分は裏の住宅地側です。

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そしてその跳ね出す展示室。

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すごかったですね。わたしにはどう考えてもこれがもつこと(構造的に大丈夫だということ)が信じられません。内部を歩いていてそれが跳ね出し部分であることは残念ながら感じることが出来ませんでしたが、どうせだったら浮いている感じをない部でも感じられたら面白かったなあと思います。
日射の関係から空いているはずの展示室の下側がカーテンで閉じられていたので、カーテンが開いていればそれを感じることができたかもしれません。

それとアプローチ側からは分からなかったのですが、展示室が何層にもなっていてどんどん下に下がっていきながら鑑賞するのですが、その辺は外観からは伺うことが出来ない魅力的な空間でした。

その他やりたい放題といった感じで、あらゆるディテールや照明などよくもこれだけのものが出来たもんだと感心しました。

常田健 土蔵のアトリエ美術館

13日に青森県浪岡にある、常田健 土蔵のアトリエ美術館へ行って来ました。数週間前の日曜美術館を見て、絵とアトリエに強く引かれました。テレビを見て初めて画家と美術館の存在を知りました。

美術館そのものは小さく、おそらくは地元の工務店が建てたと思われるような、およそ美術館らしくない平凡な建物です。中もこじんまりしていますが、テレビでも紹介された絵の他スケッチ等も展示され、見応えは十分でした。

これが美術館です。
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こちらが土蔵のアトリエです。美術館へはリンゴ畑の間を通って行きます。リンゴの花が咲き始めていました。
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アトリエの内部。(撮影許可を得て撮りました)沢山の描きかけの絵が置いてあり、筆等もそのままです。
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この椅子に常田健はいつも座っていたそうです。
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2階からアトリエを見たところ。手前の大きな絵が最後の絵だそうです。
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テレビで紹介されていましたが、常田健は絵を売ることはなく、いつでも手を加えていくため手元に置いておいたとのことですが、その描きかけともいえるような絵がアトリエには沢山ありました。アトリエは入った瞬間少々カビ臭かったのですが、その濃密な空間になんというか・・・魅せられました。

常田健の絵はとても独創的で、力強さと繊細さを併せ持っていて、その色使いや人の描き方など、私のお気に入りになりました。1枚欲しいぐらいですが、もちろん売られることはないだろうし、そもそも買えるお金もないのですが。

今回は突然予約もしないで行ったので、実は開館日ではなかったのですが、運良く別の方が予約していたらしく見れたのですが、時間があまりなく30分程度しか見れませんでした。毎月絵の入れ替えをしているそうですので、是非また行って見たい美術館です。








軽井沢千住博美術館

あっという間に年度末。自分のブログを見ればまだ冬のまま。いや、今も外には雪がありますが(3月末でこの積雪は考えられません。)
23日から娘の引越のため栃木まで行ってきました。ついでに娘と長野まで足をのばして、軽井沢見学して来ました。向こうは高速が発達しているので、車だと便利ですね。娘が住んでいた小山から2時間ちょいで軽井沢へ着きました。

真っ先に行ったのは、昨年10月にオープンした軽井沢千住博美術館。西沢立衛さんの設計です。西沢さんは十和田市現代美術館や豊島美術館など、既成の美術館とは相当違った美術館を設計している方ですが、この千住美術館はその十和田現代美術館と豊島美術館のライン上ある建物だと思います。

駐車場側の入り口。案内版のグレーの丸い穴のある変形した形が美術館で空から見るとこの形になっている。

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外観
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外壁は全部ガラスで、内部にカーテンのような生地が全面に張られていて、外からは内部は見えないが中からは外が透けて見える。
入ってまず驚くのは本当に美術館らしからぬ、広がりと明るさ。広い空間の中に所々に壁が自立してありそこに、千住さんの作品が飾られている。おそらくその壁の一部が耐震壁などの構造壁になっているのだろう。
内部にはぽっかりと丸く曲面ガラスで覆われた中庭がある。とにかく外のと接点となる壁は全部ガラス。めちゃくちゃ明るい。視線がず~~と抜けていくので、相当な広がりを感じる。
そして、床。コンクリートのままで外の元々の傾斜と同じように床もうねうねと傾斜している。その勾配は想像よりきつく、車イスの方だと介護が無ければ走り出してしまいそう。

明るく斬新な美術館を所望したのは作家千住博さん本人とのことなので、これでいいのかもしれませんが、個人的には建物のデザインが強過ぎて、静かな感じのする千住さんの作品をじっくり鑑賞する雰囲気ではない気がした。

一昨年見に行った群馬県みどり市の富弘美術館も大変モダンでカッコいい美術館ですが、考え方としては真逆な美術館ですね。

内部は写真が撮れないので、こちらで動画もみれます。







新宮晋の彫刻

20日に行った宮城県美術館で新宮晋の動く彫刻を見ました。新宮晋の風で動く彫刻を最初に見た(写真だけど)のは六角鬼丈設計の雑創の森学園を建築雑誌で見て、今から20年以上も前だと思います。当時はその環境と建築そして動く彫刻が一体となった雑創の森学園に感激し、いつかはこんな幼稚園など設計してみたいなと思ったものでした。彫刻を見ながらそんなことを思い出しました。
残念ながら無名な私などに設計を依頼する奇特な依頼主などおらず、果たせないでいます。

何かの偶然なのか数週間前の日曜美術館でやった新宮晋を見てました。そのせいか妙な親近感を覚えました。

新宮晋 (時の旅人) 宮城県美術館
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富弘美術館 2

富弘美術館の続きです。

内部はすべて円形の室ですが、外部は真四角です。外壁の素材も様々でガラスあり、石あり、木あり、鋼板ありと変化に富んでいます。それらがすべてシャープに納まってます。

下の写真のグレーの部分は機械室でRC(鉄筋コンクリート)のはずです。でもその上に鋼板を張って納めています。お金をかけてまでそうした理由は勝手な推理ですが、中央の黒ずんだところ。ここは空調の排気か給気の取り入れ口と思われますが、そこも超コダワリで小さな穴から少し大きな穴を開けています。その配列に工夫を凝らし、まるで一部分はへこんだように見えます。鋼板だからこそ小さなパンチングが出来て、こんな技が使えます。これがRC壁だったらこうはいきません。

それと向こう側の同じ空気の取り入れ口とのあいだに実はドアがあります。屋根面まで一杯一杯のドアで、壁面に同化してます。これも鋼板で等間隔に並ぶ目地があるから同化させる事が出来ます。この建物ではフードなど外部に付いて見苦しいものは一切ありません。建物一周ぐるりとまわってもどこにもありません。でもこれ位の規模の建物なるとどうしても空調の空気の出入り口は必要です。そこをフードを付けないでこんな素敵なデザインとしています。

その空調の穴と建具をこのように納めたいが為に、コンクリートの壁の上にあえて鋼板のパネル張りとしたのではないかと思いました。

これ一つ実現させるだけでも機械設備設計側や施工側、そして、もしかしたら施主側とも一体どれだけけんかした事か。どれだけ強い意思を持ってこの建物の設計に臨んだのか。ここはどちらかというと建物の裏手になります。しかしあまり人の目に留まらない部分であっても一切手を抜かない。この建物自体が美術品なのだから。・・・ただただスゴイ!

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