今日横手の帰り、茅葺き屋根を修理している家がありました。いまどきとても珍しいので、見せていただきいろいろお話を聞くことが出来ました。
茅葺き職人さんは田沢湖から来ているそうです。今日でもう7日ぐらいかかっていて、今度は裏側をやるんだそうです。茅は青森から買ったそうです。まだ来週もかかるとのこと。4人の職人さんがいましたから、工事費は相当なものになるんでしょうね。
今日の午前中は国道105号線の道路側で工事してましたが、午後は裏側に廻ってました。
国道側から見たところ。向かって右側の色が薄いところがが今回修理したところ。

軒先が綺麗に整えられていてとても綺麗。職人さんの受け継がれた技とセンスですね。

敷地の隣に積まれた茅。今回は青森県から購入したそうです。


山と接した裏側。今日は足場を掛けて、来週になると工事としては一番いいところが見れるそうです。今年の雪でやられたそうです。

家の方の話によると、この家は築300年だそうです。江戸中期の物だそうです。すごい!
茅葺きだと維持とか大変だと思うけど、やはり茅が良くてこうして茅で修理してるのか、
との問いに、
「みんな他の家では茅の上にトタンを被せてるけど(以前このブログで紹介した民家もそうでした)トタンだと雪が降るとすぐに家の回りに滑り落ちてその都度雪片付けをしなければならない。茅だと年に2~3回雪下ろしをしてその時だけ片付ければいいから。
その上、トタンは3年ごとぐらいに塗り替えをしなければならない。その費用は60万ぐらいかかる。茅は10年ぐらいもつ。茅は夏涼しい。」
とのこと。茅は昔は囲炉裏の煙で炙っていたので長持ちしたが、今はそうはいかないので、持ちがわるくなったそうです。実際家の玄関に入らせていただきましたが、ほんと一瞬エアコンか入ってるかと思うほど涼しかったです。
また、近くにオール電荷の家も出来たが、あれは電気が止まればなんにも出来なくなる。内は薪とガスだからいい とも話してました。
また、職人さんに今はあまりこういった仕事はないでしょうねと聞くと、なんと春から雪が降るまでずっと忙しいとのこと。萱葺き職人は昔はこのぐらいの地区に2~3人はいたけど15年ほど前から急にいなくなってしまった。と言ってました。だからあちこちから声をかけられて忙しいようです。
そして、なんとなんと、僕が大館から来たと言ったら、大館の花岡鉱山の立派な庭のある今は市に寄贈されたところの小さな茶室の葺替えに6~7年前に行ったとこと。それって鳥潟会館じゃないの。僕も同じ地区から出た鳥潟なので多少の縁はあるみたいなので、びっくり。
話をしてくださった方は職人さんの親方さんでしょうか。にこやかに笑顔で話してくれましたが、僕がフリージャーナリストだったら写真を撮って雑誌にでも載せたいと思うような、ほんとに素敵にいい顔でした。家の方も静かにゆっくりと話してくださり、とてもいい感じの方で、突然勝手に屋敷の中まで入っていった見知らぬ人間に、丁寧に説明してくれ、スイカまでご馳走してくれて、ほんとにありがとうございました。
私たちは今高気密高断熱住宅で省エネだからエコロジーなんて言ってますが、ほんとのエコロジーな生活はこの様な生活だと思います。無駄なものは一切ない。自然の物を使って修理しながら300年も同じ家に住み続ける。日本の昔ながらのつつましい生活と人との繋がりがここにはありました。なんかいいな~‥‥こんな生活にもあこがれます。