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大茂内の家

昨年8月から工事をしていた住宅がようやく完成した。ほんとにようやく!である。
いろいろあった。なにを隠そうおれの姉夫婦の家である。話によると明治2年に建てられたとのこと。130年も経っていることになる。その改築である。まさに最近はやりの古民家再生で、以前よりやってみたかった仕事である。

なのに途中で投げ出して、仕事を放棄しようかとも考えた。この仕事は、ごく一般的な設計監理ではなくCM方式いわゆる分離発注方式で行なわれた。姉の家でしかもあけてみなければどうなるか分からない古民家改築だ。安く、臨機応変に対応するためにはおれがすべて管理するのが一番いいだろうとの判断だ。工務店から見積もりを取れば、間違いなく高めに金額が出てくるだろう。なにしろどうなるか分からないのだから。

そして、木一本の拾いから発注まで、完全におれが工務店の社長になって工事は進められた。分離発注とは言っても普通は木材は大工工事に含めるなどして、設計者がみずから木や建材類などの拾いから発注まですべてこなすことはあまりないだろう。これはおれ自信が施工側にいた経験も長いから可能ではなかったかと思うが、しかし、設計屋になってからすでに14年も経っているため、段取り等で少々もたついたりミスったりと結構大変だった。

それが(つまり大変だったこと)が投げ出したくなった理由ではない。
ここでその理由について述べることは出来ないが、住宅でもその他の建築物でもいくら設計者がいろんな提案やアイディアを出しても建てる側が理解出来なければどうしようもないということ。新しいことに対して想像力がなく、既成のモノしか認めることが出来ない人の建物はつまらない。つまりその辺が投げ出したくなった理由だ。

しかしまあ、腹を立てたりあきれたりといろいとあったが、ハウスメーカーっぽい今どきのイミテーション住宅を建てないで、古いモノを活かした住宅に踏み切ったことに対して敬意を表したい。

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