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またしても窓の話

数日前手塚建築研究所について書いたんだけど、彼らの建築には大きく開口する木の建具が多用されます。
この「山すその家」なんか家の三方全部建具(開口)です。前にも書いたように敷地のロケーションがよっぽど好くないと出来ない代物ですが、話は外部の建具のことです。「山すその家」に使われている建具は1枚の建具が見たところの高さが240cmx巾90cm程度でしょうか。もちろん1枚ガラスだと思いますが、これがこちらの地方のように積雪寒冷地だと、最低でもペアガラス。となると、ガラスの比重は2.5なので、厚さ5mmとして、5x0.9x2.4x2.5x2=54kg。ガラスだけで54kgと、とんでもなく重いものになってしまいます。しかもこのような引き戸は戸車のところが隙間だらけで、気密性などどは無縁のものです。とてもじゃないが当地のような積雪寒冷地には使えない建具です。これを断熱木製サッシとして気密性を高めたサッシにしようとすると、ドイツ製のヘーベシーベ等の高級金物を使うことになります。ヘーベシーベは開ける時は上から吊られ、閉めると下に下がって気密性をたもつ優れ物ですが、とても高いのと、金物がごっついのが難点です。この写真のように家の廻り全部ヘーベシーベの金物を使ってアルゴンガス入りLow=Eガラスでやったら、イメージとして建具だけで数千万円にもなるんじゃないでしょうか。さらに、建具にはでっかいハンドルが付くし、レールもフラットじゃありません。
上の写真のように床面がすっきりとは収まらないんです。
しかも、これだけガラスだらけだと、どんなに高性能なガラスを使っても熱はどんどん逃げていくので、暖房工事にも相当な予算を取られるのは間違いないのです。その暖房のランニングコストもべらぼうそう。
そういえば、今思い出しましたが10年ほども昔、北海道で全面ガラスの家が雑誌に載っていましたが、あれはその後どうなったんでしょうね。もちろん暮らせないことはないとは思いますが、ランニングコストや結露で大変でしょうね。

などど、北国の大開口に否定的なことを書いてますが、実は今約8間(14m程度)開く建具をなんとか出来ないかと、あがいてます。
プライバシーの問題さえなければ窓を大きく開け放つのは、絶対気持ちいいと感ずるはずなんです。日本人は。

でも、一方で、家が出来た時は面白がって晴れると何度も開けるだろうけど、そのうち面倒になって、ほとんど開けなくなるんじゃないかと、そうなると、そこにかけた膨大なお金は無駄遣いになってしまう。

ああ、なやましい!

でもねえ、夏は窓を開け放してエアコンなしで過ごしたほうが、いろいろいいんじゃないかと思いますけど、虫は入ってくるわ、埃は入ってくるわで、やっぱり一般人の家には無理かな~。

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